コナジラミのスライド標本(永久プレパラート)を作る方法について。
コナジラミはカメムシ目コナジラミ上科の昆虫の総称である。 コナジラミの同定は蛹殻(4齢幼虫の殻)を スライド標本(プレパラート標本) にして生物顕微鏡で検鏡することによって行う。 コナジラミの永久プレパラートは マウントメディアとしてカナダバルサムが使用される。 方法はおおむねBrown2006(Martin1999を修正したもの)をベースにしているが、 そのままではうまくいかないケースがあるし、 使用する薬品を減らしたかったので少し改変している。 若齢幼虫や成虫も同様にスライド標本にされるが まだチャレンジしていないのでここでは触れない。 また簡易検鏡についてもチャレンジしていないのでここでは触れない。
なお私は専門家ではないし、 標本の作り方を体系的に学んだわけでもなく、 主にネットで得られる情報を勉強している。 基本的な操作がわかっていなかったりするので、 あくまで参考程度にご覧頂きたい。
※なにかお気づきの点があればご指導いただけると幸いです。
Brown2006と大きく異なっている点
薬品類、 機材、 薬品容器、 作業容器、 ピペット類、 マイクロツール、 スライド関連用具、 その他の用具、 移動、 排液、 採集、 剥離、 加熱処理、 軟化(KOH処理)、 脱ロウ(脱脂含む)、 中和、 ゴミ取り、 漂白、 染色、 脱水、 マウント、 乾燥、 ラベリング。
水酸化カリウム、 キシレン、 氷酢酸、 無水エタノール、 70%エタノール、 精製水、 オキシドール(3%過酸化水素水)、 10%アンモニア水、 酸性フクシン、 クローブオイル、 カナダバルサム。
通常の検体、脂肪の多い検体の場合での処理方法。 軟化と脱ロウは1回で済む場合もあるかもしれないので、 もし大量に処理するならばその条件を探しても良いと思う。
Brown, P. A. & De Boise, E. (2006). Procedures For The Preparation Of Whole Insects As Permanent Microscope Slides And For The Remounting Of Deteriorating Aphid Slides. NatSCA News, Issue 8, 15 ‐ 19. OpenAccess ―コナジラミの標本の作り方。 Martin1999の方法が載ってる。(Martin1999は未読)
Carter, David & Walker, Annette K. (1999) Care & Conservation of Natural History Collections. Butterworth Heinemann, Oxford. Pp 226. OpenAccess ―標本の保存方法とかが載ってる。ほとんど見てない。
Dooley, J. (2002) Specimen Preparation. PDF − 小道具等が少し載っている。
EPPO (2004) Bemisia Tabaci. Bulletin OEPP/EPPO Bulletin 34, 281–288. OpenAccess ―タバココナジラミに関する文献だけど 付録にMartin1987を改変したコナジラミの標本作成方法が載っており これを参考にした。 (Martin1987は未読)。 EPPOはヨーロッパの植物防疫機関のようだが詳しくは知らない。 著者名は載ってなかった。
Henderson, R. C. (2011) Diaspididae (Insecta: Hemiptera: Coccoidea). Fauna of New Zealand 66, 17-18 OpenAccess ―カイガラムシのプレパラート標本の作り方が載ってる
Martin, J. H. (1999) The Whitefly Fauna of Australia (Sternorrhyncha: Aleyrodidae). A Taxonomic account and identification guide. Natural History Museum/CSIRO Entomology, Canberra Technical Paper No. 38. ―(未読)
宮崎昌久 (1987) アブラムシのプレパラート作製法. 植物防疫, 41, 170-173.
Neuhaus, B. & Schmid, T. & Riedel, J. (2017) Collection management and study of microscope slides: Storage, profiling, deterioration, restoration procedures, and general recommendations. Zootaxa, 4322(1), 1 - 173. OpenAccess ―スライド用具のまとめ。
Sirisena, U.G.A.I. & Watson, G.W. & Hemachandra, K.S. & Wijayagunasekara, H.N.P. (2013) Preparation of Hemiptera: Sternorrhyncha for identification. Tropical Agricultural Research, 24, 2, 139 - 149 OpenAccess − あまり見ていないのだが、 比較的最近出たもので文献のリストを得るのに役立つかと思ったので載せておく。
高木貞夫 (1970) 小型昆虫の新しいプレパラート標本の作り方. 植物防疫, 24, 393-396.
田中正 (1967) アブラムシの採集と標本作製法. 植物防疫, 21, 373-378.
鳥倉英徳 (1996) アブラムシのプレパラート簡易作製法(Martin 法). Rostria, 45, 7- 10.
Shingo Toyoshima, Hidenari Kishimoto & Hiroshi Amano (2013) カブリダニのプレパラート標本の作り方 WEB − ダニの例ですが動画が見れる。
山岸健三 (2006) 昆虫採集と標本整理 PDF