コナジラミの標本作成方法 ▶脱ロウ

脱ロウ (dewaxing)

脱脂(defatting)も含む。 虫体内の脂肪を溶かし出し、外部に付着したロウ物質(ワックス)を取り除く。 脱ロウには氷酢酸キシレン無水エタノールを用いる。 私は軟化と脱ロウをセットで2回行っている。 ワックスは1回目の脱ロウ処理で取り除く。 容器は前工程で丸底ドラムを使っていた場合はそのまま継続。 もしポリスチレン容器などをキシレンに溶ける容器を使っていた場合は ガラス製の容器などに移動する必要がある。

  1. 排液
  2. 水分が多いと失敗するので、容器の蓋、壁面の水滴をティッシュペーパーで拭う。
  3. 氷酢酸キシレン無水エタノールを2:2:1の割合で投入 (0.2ml+0.2ml+0.1ml等)。 ワックスが多い場合多めにしたほうが良いかもしれない。
  4. 40°Cでしばらく静置する。 反応がなくなりワックスが溶けるまで(5〜30分ぐらい?)。
  5. 排液し、氷酢酸を入れて5分ほど置く
  6. 70%エタノールを入れて5分ほど置く。

▼動画は2倍速。

▼脂肪が多い検体の一回目の脱ロウの様子。左から、処理前、処理中、処理後。

▼脂肪が少ない検体の場合での1回目の脱ロウ。左が処理前、右が処理後。 変化は少ないが赤い矢印で示した部分(消化器官?)が無くなっている。

▼油脂を大量に含む場合の処理中の動画 なんか反応してるっぽい。

▼ワックスが多い場合の処理中の動画

考察

Brown2006には以下のように書かれている。

If the insect is naturally waxy, De-waxing of cuticle is carried out by gently warming specimens in a medium such as Carbol-Xylol (Xylene with 10% dissolved Phenol), Carbol-Histoclear (Histoclear with dissolved Phenol) or Chloral-Phenol (equal weights of Phenol and Chloral Hydrate warmed to liquefy and remaining liquid when cooled).

まず文献ではオプションのように書かれているが 私は常に行うようにしている。

また多くの文献でchloral hydrate(抱水クロラール)や phenol(石炭酸)、Histo-Clearなどが使用されているが、 あまり薬品を増やしたくなかったので詳しく調べていない。 いろいろ調べているうちに、 キシレン+氷酢酸等でできるという情報をネットで見つけて 試してみたところうまく行った。 残念ながらソースは失念。 カイガラムシ関係だったように思う。

無水エタノールの添加は入れたほうが水分がより多く溶けるような気がするので 現在テスト中。 それ以前では(2)の後で氷酢酸ですすいでいた。 

課題